+ a piece of Works
この額縁は、創作日記ではチークのカンナをかけるところからご紹介させていただきました。
そして「 傷 」「 どちらがおおきいでしょうか 」
そして今回の「 外国の小さな蚤の市で見つけたアンティークの額縁」が最後のアップです。
ご依頼くださった方は、ローマの古書店で見つけて買われてきた作品を、知人のお子様のご出産の贈り物にしたいとの事でした。
そして、ご出産お祝いなら急がなくてはいけませんね、とお伝えしたら、「手作りの良さをお子さんが将来わかっていただけたら、という気持ちが強いですのでゆっくり取り組んでください」と、とってもステキなコメントをいただきました。
古典額縁が似合いそうな、いかにも ヨーロッパ な作品の額装は初めてでした。
漆喰・金属・他、色々な素材で作っていますが、この作品に関しては、いかにも、の王道で作りたいと思いました。
ご依頼主さまもそれがいいと思いますとのこと。
チーク材に決めたのは密度です。
チーク材は彫刻刀の彫り方で木目にそってはがれやすいところがありますが、木目の詰まったズッシリとした重さが長い歴史に耐えてきたアンティークの風格をあらわしてくれそう。
油分が多く含まれていることから、水やシロアリにも強く、2千年以上前から船の材料や、宮殿や寺院の豪華な建物にも使われていたそうです。
チーク好きのWAMですが、今回もぴったりな木材です!
作品は 122 × 104
額縁外寸は 300 × 230
デザインが45度カットのフレームではないので、チークの一枚板を取り寄せることにしました。
写真はカンナで削って真っ平らにしてから、細かい部分を切り出して組み合わせた状態の額縁です。
仕上がりの目標は、創作日記の題名「 外国の小さな蚤の市で見つけたアンティークの額縁」
偶然、貴重な「宝物」を見つけたような、そんな額縁。
ラフでは、作品の周囲は彫刻するデザインにしてありますので、しっかり彫刻をしてから少し削って味を出そうと時間をかけて彫刻をしました。
依頼された作品ですから、キレイにキレイに、と時間をかけて経験の浅い彫刻をがんばってしたのですが…………
残念ながら彫りが強すぎて、その部分の高さもありすぎて上の模様よりも目立ってしまう、と後悔 ;;;
実は彫刻する前に高さで迷ったのですが、削りすぎたらもう替えの木材もないのでそのまま進めてしまった場所でした。
心がざわざわザワザワ…………
気付けば、カンナをもちだしてきて、一心不乱に削りはじめ………………
結果、頑張った彫刻はかすかな凹みを残すのみ…………でも心はホッと穏やかになりました。
やってしまったかな ; ; ; とも思いましたが、ラフにある形を新たにかすかに彫り込んで、上の模様も彫刻の後ヤスリがけして磨り減ったように仕上げたらいいバランスになったので、カンナで削って正解でした。
きっちりでなく雰囲気を決めて作り始める事もあるので、途中変更もあったり決めていないところもあったりやり直したり、それで時間がかかってしまうこともたくさん。
でもいい結果になることが多いので良しとしていますが、いつか、無駄なくゴールにたどり着けることがたくさんになる事を望んではいます ;;;
額縁の周囲の線は外側を一段低くする予定で描きましたが、彫りながら路線変更。
段差つけて削り落としたら外周りのラインが弱くなってしまう気がして、周囲になだらかに下りを付けて周りを立ち上げることにしました。
ラフでは考えなかった仕上げですが、真っ平らでなく、周囲に向かって削り落としてカーブをつけたことが、木なのに柔らかさも出て、繊細さも出て、見た目で重厚すぎない程よい重さにもなり、とても満足できる仕上がりになりました。
ステイン塗装の仕上げは蜜蝋ワックスで保護しました。
最後の作業は、贈られるお子様のお名前と生年月日を裏に入れてほしいとのことでしたので、それを刻印して完成となりました。
この額縁は、ずっと心にあって作ってみたかった額縁のイメージそのものでした。
それを贈り物にしてくださるのも、なんだか嬉しい気持ちです。
お祝いに贈られましたお子様に、いつかご依頼主様の思いが伝わり、一生手元に置いて大事にしてくださったら幸いです♡