+ a piece of Works
「日だまりの時間」 西田 陽子 作品サイズ 98×82
銅版画作家の西田陽子さんの個展が3月に西荻窪でありましたが、その時に作品を買われたお客様をご紹介くださって、今回の額縁製作となりました。ありがたく、嬉しいことでした♡
銅版画作品は2点で、一つは白鳥が二匹の猫ちゃんを大きな羽で包んでいる「友情」や「母性」を感じるあたたかな作品。もう一つは、大きな木を住処としている猫ちゃんというか猫ちゃんの妖精たち、といったほうがふさわしい楽しい作品です。
白鳥の銅版画作品は、羽で包む行為が「母性」に近い感じがして「聖母」を、そして「白鳥」という言葉からも神聖なイメージがして、そういう額縁にしてみたいと思いました。
依頼主さまから、白鳥の作品は木がよいとのご希望がありましたので、色々な木の参考画像を送って、お好みのイメージを把握してデザインし製作に取り掛かりました。
硬い木と柔らかい木どちらの仕上げがお好きか聞きましたら柔らかい木という事でレッドシダーにしたのですが、軽くて柔らかいですので完成した時のイメージが軽く安っぽくならないようにしっかり厚みを持たせて額縁の存在感を大事にしました。
味付けしやすい木ですが、いざ彫ってみたら上の彫刻の部分が木が柔らかすぎてイメージ通りの彫りができなくて、うっかりでした。ですが柔らかい木がご希望でしたので、どうしようか……色々考えてみました。
結局、木の切り出しからもう一度作り直し、彫刻部分だけ木でなく樹脂系の素材を使用してみることにしました。成形して固まった後に彫刻でき着色もできる素材です。
平らな木を彫って浮き彫りする予定を変更してその樹脂を上に貼ることにしたのですが、「怪我の巧妙」とはこのことか、と思うくらいいい感じに完成でき、ほんとうに嬉しくホッとしました。
アイボリー色の樹脂は木のようには塗料を吸わなくて白っぽくなったのですが、ステイン塗装の色が薄くのったその白さがかえって目立って神聖さも出たようでそのまま完成させました。
模様に関しては、とってつけたようではなく「必然の模様」でなくてはいけない、と思っています。
結構時間かかって考えましたが、これだ!というぴったりの模様ができた時は嬉しいものです。
「白鳥」らしいイメージと「神聖」そして絵の子達の「可愛らしさ」を感じる模様になったと思います。
もう一点の作品の額縁は、依頼主様のご希望の形を似たように作ることになりました。
色の参考の為に送った画像のほんの隅っこの部分に写っていた額縁が可愛い!とのことで、赤丸をつけて送ってくださって、まさかの展開でしたが、送った資料を隅々までよく見てくださっているなーと感心してしまいました♡
とても作品に似合った額縁になったと思います。
WAMでは考えないであろうデザインでしたので、 作るときにはどういう方法で進めていこうかと色々考えて完成させましたので、とってもためになりました!
最近アクリル絵具で完成させることも少なかったのですが、アクリルは樹脂系の絵具ですので異素材を混ぜたりとか結構色々に完成させることができます。
今回は下地に、古典技法の、膠に石膏を溶いて作るジェッソで何回か塗装して彫刻した硬い木のラインをぽってりと柔らかくしてからアクリル塗装をしたのですが、直接木にアクリルを塗装するよりも厚みがあり柔らかいので、ちょっと剥がしてみたり、凹ませてみたり虫食い穴開けてみたり、色々できてアンティークな感じに完成させることができました。
紆余曲折ありましたが、両方ともすごく喜んでくださって何よりでした。
「 風船 」 西田陽子 作品サイズ 217×185