+ a piece of Works
作家様とのメールのやりとりで、フッと浮かんで送らせていただいた言葉がありました。
「 色々な額縁作って、個性のあるのかないのかわからないWAMですね。でもそれが私の個性でしょうか。自分の中にあるのを表現して感動させる作家さんとは明らかに違うと思うこの頃です。
作品に居心地の良い家を作ってあげる……そんなことでしょうね(^^) 」
額縁作家さんです、とご紹介いただくときもあり「作家」という言葉をどう捉えるか、に翻弄されてしまったこの頃でした。
一見自由に作っているように見えるけれど、いろんな素材を考え相手(作品)にいかに合わせるかに100パーセント近くを費やして作っていて、そこに自分はちゃんと居るのだろうか……とか、作家とは、とか……
額縁製作している方は大概自分のカラー(個性)をもっていらっしゃいますから、色々な額縁で埋め尽くされた個展会場を観たら流されていると思われても致し方ない事ですが、「そんなに色々なのを作っていると自分がなくなってしまいますよ」とアドバイスいただいたこともあります。
そんな事を思い出してあれこれ考え込んでしまっていたときの「作品に居心地の良い家」という表現。
思わず、本物の家の設計を仕事にしている娘に「Nちゃんとおんなじ仕事してた〜」とメールしたのですが、「すごい!おもしろいお話だね!アーティストのようで実はデザイナーなんだね◎」との返信。
「アーティストのようで実はデザイナー」という言葉にハッとして、なんだかすごくしっくりきたんです。
デザイナーは相手ありきで成り立つ職種ですので、作品とがっちり向き合ってどんな素材が似合うか、から考えるところはまさにデザイナーだな〜〜と感じました。
特にWAMは色々手がけるので何が出てくるかわからない、掴めないデザイナーと言ったところでしょうか。それが不安で依頼に躊躇される方もきっといらっしゃる事と思います。 ( 意に添わなければ額縁製作実行前にキャンセルできますのでご安心くださいませ(^^) )
一番最初の発表の場は、2014年に漆喰や土を使った山手111番館での二人展でしたが、その時もどんな額縁を作りたいかというより、友人の絵に何が一番似合うかと考えた末の「漆喰と土」、そして「葦」などの自然素材を使った額縁でした。
それから一貫して変わらないのは、その絵にはどんな額縁が似合うか、ご依頼者様はどんなインテリアがお好きだろうかも気になり、その方の好みも大切にして作ってきたことです。
もっと前、額縁に興味持って作り始めた頃は相手も何も考えず自由に作っていました。
昨年の個展は「銀座」という場所のイメージにちょっと真面目になってしまいました。
その後は作品ありきで何が合うか考えることが続きましたので、ちょっと羽を伸ばしたくなったのでしょうね!
けれど作品があることで何が一番似合うかと考える事と、依頼主様とのメールのやりとりで、思わなかった額縁が完成する事が結構あり、私ひとりでは出来なかった事も引き出してもらっていると実感しています。
相手関係なく自分の内面にあるものを表現して作品にするのが「作家・芸術家・アーティスト」と呼ばれる個性ある人たちですが、「デザイナー」も条件があるものの出来上がった作品にはそれぞれの個性があり、絵がなくても成り立つステキな額縁もありますので、どこかのくくりに収める事も必要ないことでしょうね。
そんなウロウロしていた時にちょうど一点の額縁が完成しました。作品にぴったりで、箱開けた時きっと喜んでくださるだろうなー♡!と、とっても嬉しくてワクワク!
この喜びは何にも代え難く、これがあればそれで十分なのかも、と思えました。
相手の事を考えて作っても「自分」らしさは出てくると思います。
ただ一つ、自分に違和感ないもの、自分が良いと思えるのを作る事をとっても大事にしています。
相手の事を考えて生きる事も、時にはわがままに自由にする事も自分で選んだ自分の人生。
それを額縁創作に当てはめれば良いんだな〜〜という結論になりました♡
そういえば、横尾忠則はニューヨークでピカソ展を観て「イラストレーター」から「画家」になることを決心。
「画家宣言」をしたそうです。
されど肩書き、ですね!