+ a piece of Works
早速アイデアのスタートです。
壁に飾る案とディスプレイケースに入れて机や棚に置いて飾る案を色々考えましたが、どちらになってもできたらいいなと思った事は、すぐに手に取ってみることができる事。
そう希望される方がいらっしゃった時にすぐ外したりできるようにしたいと思いました。
結局、置くタイプのディスプレイケースに決まったのですが、立体の鉗子をどう支えるかずっと迷っていました。
標本でよく使われる、金属で支えるタイプは鉗子の綺麗なラインを消してしまいそうです。
アクリルで支えるのを考えた時も、見た目はアクリルという素材が実はあまり好きではなかったので、握るところだけで目立たずラインに合わせてなんとか支えられたらと。
アクリル加工をお願いした方にお聞きしてみたら、厚いアクリルを鉗子の形に深く彫ってそこにはめるという案を出してくださいました。
15ミリの厚いアクリルを使うアイデアは私の中にはゼロでした。
完成して早速持ってきてくださったのですが、鉗子のラインの邪魔をしない存在感と、ぴったりはまって全く動かなく安定していたのと、自立したのでびっくりでした。
嬉しかったです♡
おまけにすぐに手に取ってみることができ、簡単に外したりはめたり、の案も満たしてくれます。
後日、台に取り付けできるように加工してくださって支えは完成しホッといたしました。
下の台の案は依頼主様が「ブラケットフィート」という17 世紀後半に流行した家具の脚部のデザインと、「ヴィチュルヴィアンスクロール」という縁起の良い波型模様をご希望とのことでそれをメインにしたデザインにしたのですが、最終の微妙なラインやロゴ周りと左右に入れる模様がなかなか決められず………
「必然」が見つかるまでのちょっと辛い時間………
壁に張って眺めてまた描いては比較して、の繰り返しで、最終のご提案まで時間がかかりましたが、やっと、これでいいという模様もできて、最終ラフ案を送らせていただきました。
デザインが決定すれば、後はただ完成に向けて手を動かすだけです。
やっと見つけた必然模様は「ギローシュ」という途切れることのない組紐文様。
これも縁起の良い模様です。
左右と裏面に入れて、正面のロゴマークと後ろのギローシュ模様の周囲は「ヴィチュルヴィアンスクロール」と「組紐文様」に共通する「水」に関連した波の模様にしました。
上の無反射アクリルのカバーの角度に合わせて下の台も同じ角度で斜めにカットしなければならないのですが、それにはとっても便利な道具がありカバーの角度に正確に合わせることができます。
まずはテーブルソーの台に平に置いて数値をゼロにしてから、次に丸のこに貼り付けて希望の角度まで丸のこ刃を傾け、後は切断するだけです。便利そうと買ったのがある時すごく役に立つことがあり、買っておいて良かった〜〜♡と思う瞬間!
木材は木目の目立たないつげの木を使い、彫刻部分には朴木を組み込みました。
そして、ロゴとギローシュ模様は厚くなる鉄さび塗装を予定していたので、塗装してもきれいに見えるようにエッジはきれいにくっきり、彫りも深くしたかったのでレーザー彫刻を外注することにしたのですが、頑張って注文通り深く彫ってくださりこれ以上は無理です、という言葉にとても誠意を感じました。
こうして色々な方々のご協力で無事に完成しましたが、完成しても梱包して手元から離れるまで、うっかり落としたりしないかとか、無事に送ることができるのだろうかとか、とても緊張した時間 ;;
高価な無反射アクリルは表面が加工されていて特殊なので断面での接着にしたのですが、「接着しません;;;」とお電話いただいたいて、メーカーにお問い合わせしたり焦りました;;;
ですが接着方法を変えてみたりと頑張ってくださいました♡ 本体ももちろんですが扱いには慎重に;;;のカバーでした。
アクリルの方もレーザー彫刻の方もお忙しい中、イベントへの出品のために早まった納期に合わせてくださってお陰様で無事に期限内に納めることができました。
依頼主様は道具の製作に関わっていらっしゃるからか、ご指摘がとても的確でした。
鉗子のディスプレイの角度の修正。
ラフ段階での台部分に描かれたデザインをシンプルに変更、と。
アクリルカバーの左右の角度は実はもっと斜めでした。
そして上に取り付けたお祖父様のお名前と創立当時のロゴと会社名の金属プレートの種類。
アクリルカバーがはまる台の部分の厚さは13ミリから、7ミリに変更してくださいとのご指摘でしたが、実際にその方がスッキリしてきれいでした。
こうして時折軌道修正していただきながら完成したディスプレイケースです。
依頼主様のイメージをそのままWAMが形にした仕事だと思います。
何もご指摘なければどんなのを作っていたのだろうか、と考えてしまいます。
アクリル、銘板、レーザー彫刻、材木店、模型店、……色々な方々とも関わり進めた製作はとてもためになりました。
今年はこれに始まりこれで終わると感じるくらい常に頭の隅にあったお仕事でした。
依頼主様に気に入っていただけたら何より幸いです。
これでやっと次のスタートが切れる気持ち♡
来年も色々と活動予定しています。
今年も拙い創作日記を読んでくださった皆様に感謝いたします。
長い創作日記になりました。
お付き合いありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
皆様良い年になりますよう…………